2024/10/11
ストレスにはどうしても良くないイメージがつきまといます。
しかし、それはどうやら普段、私たちがネガティブなイメージしか持っていないことが原因のようです。
今回の記事では、ストレスを人生を変えるきっかけにしていただくために、どう考えればよいかということを理論や実験結果と共にシェアしたいと思います。
Contents
ストレス=悪者というわけではない
そもそもストレスは悪いものばかりではないということはご存知だと思います。
適度なストレスは日々の生活に緊張感をもたらし、良い刺激となることを体感的に知っている方は多いのではないでしょうか?
では、なぜストレスは悪いものだというイメージがついてしまったのでしょうか?
それにはストレスという言葉をはじめて用いた人の定義が大きく関わっています。
ハンス・セリエ博士の定義から始まった!
(ハンス・セリエ:1907年1月26日 – 1982年10月16日)
生理学者のハンス・セリエ博士は
「ストレスは外部からの刺激に対する体の反応である」
と定義しました。
これはマウスに異なる動物のホルモンを注射したり、さまざまな実験を施したりして観察しているという条件下で定義したものです。
しかし、いつの間にかこれが一人歩きしてしまい、実験環境においてだけでなく、日常のありとあらゆる体験までもストレスに含まれてしまいます。
そのことから
『仕事のストレス』
『試験のことを考えると吐きそうになる』
というようなものまで同義になってしまったわけです。
その結果、ストレスという言葉に負のイメージが重なるようになりました。
ハンス・セリエ博士は後年、ストレスを感じる状況がすべて体に悪い影響を及ぼすわけではないとして、
「ストレスは人生のスパイスだ」
「役に立つよう上手く利用することが大事」
とも述べていることを追記しておきます。
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なぜストレスが現実を変えるのに役立つのか?
(アリア・クラム:スタンフォード大学准教授)
心理学者のアリア・クラム博士は
「物事についてどう考えるかによって、その物事から受ける影響は変化する」
という概念のもと、『マインドセット(その人の現実を形作る考え方)』を研究テーマとしています。
ごく簡単に言うと、
現実が私たちの主観によって大きく変わってくる
ということです。
『プラセボ効果』(プラシーボ効果)や『自己成就予言』という言葉もこれに近いものです。
『プラセボ効果』は、薬理効果がない偽の薬を「よく効く薬」だとして与えられると症状が改善することです。
『自己成就予言』は思い込んだことが現実になることです。
つまり、ストレスについても『役に立つ』と思い込めば役に立つという考え方です。
「思い込み」の力がストレスホルモンの分泌に影響する
実際にクラム博士は実験でこれを証明しています。
被験者を2つのグループに分けました。
Aグループには
「ストレスはパフォーマンスを上げ、健康を増進させ、成長を促す」
という内容のビデオを見せました。
一方、Bグループには
「ストレスは健康に悪く、幸福感を奪い、仕事のパフォーマンスを下げる」
という内容のビデオを見せました。
その後、被験者たちはそれぞれ模擬面接を受けます。
それは、すべてを否定され、ケチをつけられるというストレスを伴うものでした。
そして、実験終了後、どちらのグループも唾液を採取され、ストレスホルモンを調べられました。
すると、AグループはDHEAの数値が高く、Bグループはコルチゾールの数値が高いという結果が出ました。
DHEAは、ストレス関連の病気リスクを下げる効果があります。
逆にコルチゾールは免疫機能低下やうつ病を招きやすくなるという性質があります。
つまり、考え方一つでストレスが良い方向に作用するかどうかが違ってくるということですね。
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「マインドセット効果」のスゴさとは?
『スタンフォードの自分を変える教室』『スタンフォードのストレスを力に変える教科書』などで知られる健康心理学者、ケリー・マクゴニガル博士は
「ストレスについてのマインドセットは健康や幸福、成功に影響を及ぼす」
と主張しています。
どういうことかというと、
考え方次第でストレスを受けたときの気分や対処の仕方をどうにでも変えられる
ということです。
具体的には、ストレスは役に立つと考えている人の場合、強いストレスを感じると以下のような行動をとるそうです。
- 事実を受け止め、現実として認識する
- ストレス原因に対処する方法を考え、克服するか取り除くか対策を講じる
- 情報やサポート、アドバイスを周囲に求める
- (ストレスを受けている状況を)成長の機会ととらえる
このようにストレスを感じても、そこから逃げずに正面から向き合うことで、それに対処する能力と自信がつくということです。
そして、そのことによりうつ病など心の病になりにくく、人生への満足度も高くなるということです。
最後に
ちなみにマクゴニガル博士の調査によると、
ストレスに対してポジティブな考えを持っているかどうかというのは、過去にツライ経験をしたかどうかということは関係なかった
そうです。
それを聞くと、本当に日頃からの考え方一つだということがわかりますね。
今、ストレスを大いに感じている方で、しんどさしか感じていない方は是非、ストレスへの考え方を変えてみてください。
皆さんがきっと良い方向に向かうことを願っています。