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【診断方法】セルフネグレクトとは? 高齢者だけでなく若者にも増加中

time 2016/12/23

【診断方法】セルフネグレクトとは? 高齢者だけでなく若者にも増加中

 

ネグレクトという言葉は、育児をされている方でしたら、聞いたことがあると思います。

簡単に言うと、ネグレクトとは育児放棄のことですね。

(英語で、『無視すること』や『怠ること』という意味です)

 

それにセルフという言葉がつくと、育児ではなく、成人が自身の世話をしなくなることです。

次項で詳しく説明します。

 

セルフネグレクトとは? 定義

セルフネグレクトを日本語に訳すと、『自己放任』となります。

自分への関心がなくなり、身の回りのことを一切行わなくなることです。

 

本来、成人は、食事や身なり、部屋の掃除といった基本的なことを自分自身で管理できるはずです。

しかし、セルフネグレクトの状態になると、それを一切しなくなり、誰かに援助を求めることもなくなります。

 

つまり、通常の社会生活を営めなくなった結果、自己の健康・安全を損なってしまいます。

また、家族や周囲から孤立することが多く、孤独死に至る場合もあります。

 

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セルフネグレクトの症状と診断方法

以下の8つに当てはまる数が多ければ多いほど、セルフネグレクトの傾向があります。

また、「いつもそうだ」というわけではなく、「休日や人目がない場合にそうなる」という人はセルフネグレクト予備軍とみなします。

 

  1. 入浴、洗顔、歯磨きなどの本来当然やるべきことを億劫だと感じる(または行なっていない)
  2. 部屋の片付け、掃除をするのを面倒に思ってしまう(または行なっていない)
  3. 栄養バランスを考えた食事をするのを面倒に思ってしまう(または行なっていない)
  4. 体調が悪くても病院に行かない(病院を拒否する)
  5. 規則正しい生活を送れない
  6. 極端に節約志向もしくは散財志向がある
  7. 一人暮らしである(家族が家にいないことが多い)
  8. 信頼できる友人、恋人、家族がいない(いても遠距離である)

 

セルフネグレクトの原因

セルフネグレクトには様々な理由があります。

主なものは下記の11項目です。

 

  • 認知症・アルコール依存症
  • 恋人との別れや離婚
  • 家族がこの世を去ってしまった心の傷
  • 精神疾患(特にうつ病)
  • 生活習慣病(高血圧、脂質異常症、糖尿病など)
  • リストラ、強制解雇
  • (いじめが原因での)引きこもり
  • セクハラ
  • インターネットの普及
  • 経済的困窮
  • 自尊心からの支援拒否

 

関連記事

 

セルフネグレクトは高齢者に多い

ベンチに座る高齢者の後姿

 

最近では、高齢者のセルフネグレクトが多くなっています

自分の意思とは別に、うつ病や認知症によるケースも発生しており、一人暮らしなどの場合に多く見られます。

そのため、自分だけでは生活していけない状況なのに、施設などにも入居しようとせず、誰にも助けを求めようとしない状態になります。

 

認知症は割合的に高齢者に多いため、発症した方がセルフネグレクトになる可能性も高くなります。

認知症になってしまうと、なかなか通常の社会生活を営むのが難しくなってしまいます。

そういう意味で、中年期以降は認知症の可能性が高まりますので、セルフネグレクトになる恐れが出てくることも考えておかなければなりません。

 

最近は20代などの若者にも

歪んだ時計の前で体操座りをする若者

 

前項で、セルフネグレクトは高齢者に多いと紹介しましたが、最近は20代などの若者にも増えているようです。

 

原因のところで紹介した、【いじめが原因での引きこもり】【インターネットの普及】などが影響しています。

また、経済的困窮も関係あるでしょう。

 

更に、スマホが普及し、SNSやソーシャルゲームが流行したせいで、それにかかりきりになることで、セルフネグレクト予備軍になっている人も多くなっています。

 

セルフネグレクトが問題になるにつれ、以前からあった事象が表面化してきたという側面もあるのかもしれませんが、いずれにせよ看過できない問題です。

 

嵐の二宮和也さんもセルフネグレクト?

去年(2016年)の7月20日に放送された明石家さんまさんが司会の『ほんまでっか!?TV』に出演した、アイドルグループ嵐の二宮和也さん(ジャニーズ事務所所属)もセルフネグレクトの疑いがあると言われていました。

 

その診断をしたのは脳科学評論家(専門は生物学)の澤口俊之教授です。

二宮さんが「自分のことが好きでも嫌いでもなくて、興味がない」と発言したことを受け、その後も色々聞いているうちにそういう疑いがあると診断していました。

 

更に脳機能障害か脳に何らかのダメージがあるかもしれないとまでおっしゃっていました。

もちろん、確定したわけではないようですが、自分に興味関心が持てない人の中にはそういう障害を持った人もいるとのことです。

 

ゴミ屋敷との関係

普通に生活していれば、ゴミが出るのは当たり前ですし、それを捨てるのも当たり前です。

しかし、掃除はおろか、身の回りのことを自分ですることを拒否するのがセルフネグレクトの主な症状です。

 

そうなると、ゴミが出てもそれをまとめてゴミ置き場に捨てなくなります。

 

結果として、部屋の中がゴミで埋め尽くされ、それが徐々に家全体に広がった結果、外にあふれ出すほどになります。

これが、ゴミ屋敷と呼ばれる状態です。

 

全てのゴミ屋敷がセルフネグレクトと直結するわけではないでしょうが、相関関係があることは間違いありません。

 

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アルコールとセルフネグレクトの関係

セルフネグレクトの状態になると、うつ病やそれに近い精神状態に陥ることが多くなります。

そして、そのような状態になった人は虚無感に襲われ、それを紛らわすためにアルコールに依存してしまう傾向にあります。

お酒を飲んでいるときは、孤立している自分を忘れることができるから、ということのようです。

 

しかし、それが続くと、常にお酒を飲んでいないと不安になってしまい、遂にはアルコール依存症になってしまいます。

アルコール依存症は精神状態だけでなく、実際に体を蝕んでしまう恐ろしい病気です。

そうならないためにもセルフネグレクトが疑われるお知り合いの方がいたら、早めに助けの手を差し伸べてあげてください。

次項で簡単に支援の方法を紹介します。

 

セルフネグレクトへの対応、支援

一人きりの老人

 

セルフネグレクトへの対応で難しいのが、原因の項で紹介した

・自尊心からの支援拒否

ということがあるからです。

 

本人の意志を無視して行政が介入することは困難ですので、身近な人の協力が必要になってきます。

特に、身寄りがない高齢者は、施設へ入居した方が良い場合もありますので、より難しいケースになります。

 

いずれにせよ、本人に現状を把握してもらい、どうすべきかということを理解してもらうというプロセスが必要ですので、根気よくコミュニケーションをとっていかなければなりません。

ご自分の近しい人がセルフネグレクトの状態になった場合は、一人で悩まずに知人・友人に支援を求めたり、専門の機関に問い合わせるなどしてください。

 

具体的にどうしたらいいか

高齢者で介護が必要な場合は、地域包括支援センターに問い合わせてみてください。

介護が必要とはいえ、高齢者は住み慣れた自宅や地域を離れたがりません。

そんなときに、地域包括支援センターは介護サービスなどの相談に応じてくれます。

 

こちらから探すことができます。

http://www.kaigo-town.jp/list/list.php?c_menu=10&c_id=1001&kencd=&sichocd=#search

(外部サイト:介護たすけあいホームページあったかタウン)

 

また、他にも地域の身近な相談相手として、民生委員・児童委員と呼ばれる方がいます。

民生委員は非常勤の地方公務員であり、地域の方の相談に乗ったり、福祉関係の情報提供を行なったりしています。

 

民生委員・児童委員について

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/minseiiin/

(外部:厚生労働省サイト)

 

具体的には高齢者や障害者のいるご家庭、母子家庭の世帯の状況を把握したり、支援が必要な方の様々な相談に応じたりしています。

基本的に知り得た情報を漏えいしない、守秘義務を守ることができる人しかなれませんので、安心して相談できるはずです。

また、民生委員の方が直接何かできなかったとしても、専門家へつないでくれるはずです。

 

民生委員・児童委員の方に話を聞きたい方は、お近くの市町村庁に問い合わせしてみてください

 

最後に

セルフネグレクトには様々な原因がありますので、一概にどうするべきだという対処法はありません。

いずれにせよ、本人とコミュニケーションがとれるように、粘り強く働きかけるのが重要です。

そして、自分一人で対応するのが難しい場合は、専門家の意見を仰いでください。

 

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