2024/10/11
高血圧は現代社会において一般的な健康問題であり、心臓病や脳卒中などの深刻な合併症を引き起こすリスクがあります。
とはいえ、高血圧は予防可能です。
普段からの食事やライフスタイルの見直しが特に有効な対策です。
このコラムでは、高血圧予防に役立つ具体的な食事法や生活習慣を紹介します。
Contents
1. 塩分摂取の制限
高血圧予防において最も重要な食事の見直しポイントは、塩分摂取の制限です。
塩分の摂り過ぎは、血管内の水分を引き込んで血液量を増やし、その結果、血圧が上昇します。
厚生労働省の2020年版の基準では、1日の塩分摂取量の目安は男性7.5g未満、女性6.5g未満とされています。
とはいえ、塩分は体に必要なモノであり、過剰な制限はよくありませんので、以下の3つの対策を参考にしてみてください。
加工食品の摂取を控える
加工食品やインスタント食品、ファストフードには多量の塩分が含まれています。
これらの食品を避けるか、摂取量を減らすことで、自然と塩分の摂取量が減ります。
調味料の工夫
食事の味付けに塩や醤油を使う代わりに、ハーブやスパイス、レモン汁などで風味を加えることで、塩分を減らしながら満足感のある味付けが可能です。
塩分をとる場合は、海水塩がおすすめ
伝統的な製法(天日、平釜)で作られた塩がおすすめです。
食卓塩には含まれていない天然のミネラルやマグネシウムが豊富に入っていて、甘みや旨味、苦味などのバランスが整っているため、よりおいしく感じるはずです。
また、ミネラル(マグネシウム、カリウム、カルシウム、鉄など)が含まれているので、多めにとったとしてもしっかり排出してくれます。
天然塩をしっかりとることで、身体のバランスを整えることが重要です。
2. 野菜と果物の積極的な摂取
野菜や果物に豊富に含まれるカリウムは、体内のナトリウム(塩分)を排出する働きがあり、高血圧を予防するために役立ちます。
カリウムを豊富に含む食材を意識して摂ることで、バランスの取れた血圧管理が期待できます。
カリウムを含む食材
バナナ、ほうれん草、アボカド、サツマイモ、ブロッコリーなどがカリウムを多く含む代表的な食材です。
毎日の食事に取り入れることで、塩分の過剰摂取を相殺し、血圧を下げる効果があります。
食物繊維の摂取
野菜や果物には食物繊維も豊富に含まれており、腸内環境を整え、体内の老廃物や余分なナトリウムを効率よく排出する効果があります。
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3. バランスの取れた食事:DASH食
高血圧予防には、バランスの取れた食事が不可欠です。その中でも注目されているのが、DASH食(Dietary Approaches to Stop Hypertension)と呼ばれる食事法です。
DASH食は、全粒穀物、野菜、果物、低脂肪乳製品を中心に摂取し、赤身の肉や砂糖、脂肪を控える食事法で、特に高血圧予防に効果があるとされています。
以下に、DASH食のポイントを3つ紹介します。
DASH食のポイント①:全粒穀物
白米や白パンの代わりに、玄米や全粒粉パンを選ぶことで、食物繊維やミネラルをしっかりと摂取できます。
DASH食のポイント②:脂肪分の少ないタンパク質
鶏肉や魚、大豆製品など、脂肪分の少ないタンパク質源を取り入れることで、心血管系への負担を減らしながら栄養を補給します。
DASH食のポイント③:乳製品の選び方
低脂肪または無脂肪の乳製品を選ぶことで、脂質の過剰摂取を避けることができます。
4. 定期的な運動
食事だけでなく、ライフスタイルの見直しも高血圧予防に欠かせません。
特に、定期的な運動を取り入れることは、血圧を正常に保つために非常に効果的です。
運動によって血液循環が改善され、心肺機能が向上することで、血圧が自然に下がる効果が期待できます。
定期的な有酸素運動
ウォーキングやジョギング、サイクリングなどの有酸素運動は、血圧を下げる効果があります。
週に150分程度の中等度の運動を目指すことが推奨されていますが、運動習慣のない方は、まず週に2回程度のウォーキングから始めてみましょう。
定期的な筋力トレーニング
筋肉を鍛えることで、基礎代謝が向上し、体重管理にも役立ちます。
体重が減ることで、血圧への負担が軽減されるため、筋力トレーニングも積極的に取り入れると良いでしょう。
筋トレと聞くと、重い重量を持ち上げるようなイメージがあるかもしれませんが、いわゆる『自重トレーニング』(ダンベルなどの重りを使わず、自分の身体のみで行う筋トレ)でも、筋肉を鍛えることは可能です。
参考記事
5. 体重管理
肥満は高血圧の大きなリスク要因です。体重が増えると、血管にかかる圧力が増加し、血圧が上昇する傾向にあります。
そのため、体重管理は高血圧予防の基本となります。理想的な体重を維持するためには、食事の見直しと適度な運動が不可欠です。
BMI(体格指数)の確認
自分の健康的な体重範囲を知るために、BMIを定期的に確認することが重要です。
BMIは体重(kg)を身長(m)の2乗で割った数値で、18.5~24.9が正常範囲とされています。
数字にとらわれ過ぎるのはよくありませんが、目安として覚えておくといいかと思います。
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例)身長160cm、体重55kgの方なら
55 ÷ (1.6×1.6)= 21.484375
なので正常範囲内に収まっています。
6. ストレス管理
ストレスは、血圧を上昇させる要因の一つです。
精神的な緊張が続くと、交感神経が活発化し、血管が収縮して血圧が上がります。
ストレスをうまく管理することは、高血圧予防だけでなく、全体的な健康においても重要です。
リラックス法の実践
瞑想やヨガ、深呼吸法などを取り入れることで、日常的なストレスを軽減し、血圧を安定させる効果があります。
これらの活動は、リラックス効果が高く、心身のバランスを整える助けとなります。
参考記事
7. アルコールとカフェインの摂取制限
アルコールやカフェインの過剰摂取は、血圧を上昇させる可能性があります。
特にアルコールは血圧を急激に上げることがあるため、適度な量に留めることが重要です。
一般的には、男性は1日2杯、女性は1日1杯のアルコール摂取が推奨されています。
また、カフェインも一部の人にとっては血圧を上げる原因となるため、コーヒーやエナジードリンクの過剰摂取は控えるべきです。
まとめ
高血圧は、日々の食事やライフスタイルの工夫によって予防できる病気です。
塩分の制限やバランスの取れた食事、適度な運動、ストレス管理など、基本的な生活習慣の見直しが血圧の安定に繋がります。
自分自身の健康を守るために、少しずつこれらの習慣を取り入れて、高血圧を予防しましょう。