2024/10/11
子どもというものは、大人から見ると危なっかしいものです。
不意に走り出したり、じっとしていられなかったり、不注意だったりします。
多かれ少なかれどの子にもそういう傾向はありますが、それがひどい場合、もしかしたらADHDという障害という可能性もあります。
Contents
ADHDとは?
ADHD(Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder = AD/HD)は、別名を【注意欠陥多動性障害】と呼ばれるものです。
- 不注意(集中力がない・気が散りやすい)
- 多動性(じっとしていられない・落ち着きがない)
- 衝動性 (順番を待てない・考える前に実行してしまう)
の3つの要素がみられる障害のことです。
また、症状の現れ方から
- 不注意優勢型
- 多動性、衝動性優勢型
- 混合型(3つの要素のすべてを持っている)
というタイプ分類がされることもあります。
この障害が発覚しづらいのは、これらの症状が子どもであれば誰でも大なり小なり見られるからです。
そのため、障害として理解されづらく、乱暴者やしつけができていない子という誤解を受けるケースが見受けられます。
文部科学省の定義
文部科学省は、ADHDを次のように定義しています。
ADHDとは、年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力、及び/又は衝動性、多動性を特徴とする行動の障害で、社会的な活動や学業の機能に支障をきたすものである。
また、7歳以前に現れ、その状態が継続し、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される。
⇒ http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/004/008/001.htm
ADHDの特徴
年齢や発達に不釣り合いな行動が多くみられます。
そのため、社会的な活動や学業に支障をきたすことがあります。
たとえば、
- 集中力が続かず、静かにすべき場所やじっとすべき場面で動き出してしまう
- なくしもの、忘れ物が人一倍多い
- 決められたルールが守れない
- 事前に考えて行動できない
などです。
もう一つ、ADHDの大きな特徴としては知的な遅れはないということです。
単に、感情や行動のコントロールを自分ですることが難しいというだけです。
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家庭における対処法
ADHDの子どもは、自分でコントロールできない行動があります。
家庭では、それをADHDの症状の一つだと捉えて、叱るにしてもそれを踏まえた上で行なってください。
感情的に怒らず、しっかりと理由を示した上で叱ってください。
また、叱りすぎてもいけません。
感受性が豊かな子どもは叱り続けられることで自身の人格を否定し、ひきこもりになったり、うつ病を発症してしまうこともあります。
診断基準・テスト
以下にチェック項目を用意しましたので、ご覧ください。
当てはまる項目をチェックして数を数えておいてください。
不注意
- 学業や仕事において、しばしば集中することができないことによる不注意なミスを犯す
- 課外活動や遊びの場において、集中力を持続できないことがよくある
- 話しかけられても、聞いていないように見えることがよくある
- 本人が納得・理解した上での指示に従えず、言われたことをやり遂げられないことがよくある
- 計画的に物事を進めることが困難であることが多い
- 宿題や課題など、精神的な努力を要する活動を避けようとしがち
- 必要なものをよくなくしてしまう
- 外からの刺激で注意力が散漫になってしまうことが多い
- 予定を忘れてしまうことが頻繁にある
多動性
- 手足をひっきりなしに動かす
- じっと座っていることが困難
- 常に動き回り、走ったり、高いところへ登ろうとする
- 静かに遊ぶことがほとんどない
- 何かに駆り立てられるかのように、常に動き回っている
- しゃべりすぎることがよくある
衝動性
- 他人からの質問が終わるや否や答える
- 順番を守ることができない
- 遊んでいるときや話しているときに、悪意なく他人を妨害したり、邪魔してしまう
Aから6つ、BCから合わせて6つの項目に当てはまる場合、ADHDの可能性があります。
とはいえ、当てはまったからといって、必ずADHDという診断が下されるわけではありません。
必ず専門医の診察を受けてください。
ADHDの原因は? 遺伝は関係あるのか?
実はADHDを引き起こす原因は特定されていません。
現在では、複数の関連遺伝子が原因していると考えられており、それらが複雑に絡み合った挙句、脳機能の偏りを引き起こすせいだとされています。
先天的な遺伝要因(※)によって脳の機能異常があり、それに加えてさまざまな環境的要因が影響してADHDの症状を引き起こすということのようです。
以前は、親のしつけなど後天的な原因ばかりが取り沙汰されていましたが、決してそういうことではないようです。
※とはいえ、出生前の遺伝子検査で判別することは困難なようです。
あくまで、精神科か心療内科での診断が主になってきます。
より具体的に言うと
脳の機能障害をより具体的な部位を挙げていうと、前頭葉の働きが悪いせいだという説が最も有力です。
前頭葉は、おでこに近い部分にある位置し、人間が論理的に考えたり、物事を筋道を立てて整理したりという働きを司っています。
この働きが弱まると、外からの刺激に左右されやすくなり、集中力が弱まり、注意散漫になってしまいがちなのだそうです。
神経伝達物質であるドーパミンが、神経と神経をつなぐニューロン間でうまく受け渡しができないために前頭葉が上手く働かないということのようです。
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ADHDは薬で治るのか? 治療法は?
主に3つの治療法があります。
薬物治療(薬物療法)
病院で診察を受けた後に、薬物治療にはいることもあります。
そのときに処方される薬として、脳内のドーパミンを増やすコンサータや、脳の働きをスムーズにしてくれるノルアドレナリンを増やすストラテラなどがあります。
心理療法
行動療法と認知行動療法があります。
行動療法は、実践的な方法で問題行動を改善します。
認知行動療法は、ADHDの特性を理解し、問題行動を患者自身に認知させることで感情や行動に変化を起こさせるというものです。
食事療法
食品添加物や砂糖などの過剰摂取も、ADHDの問題行動に関係していると考えられています。
食事療法では、それらの摂取を控えさせ、バランスの良い食事ができるよう指導します。
有名人にもADHDと診断された人がいた
アメリカのケネディ大統領やクリントン大統領、それにオリンピックで合計28個(金23、銀3、銅2)ものメダルを獲得した競泳のマイケル・フェルプス選手もADHDと診断された過去を持っています。
日本では、人気バンド、通称セカオワ(SEKAI NO OWARI)のボーカルであるfukaseさんが、カミングアウトして話題になりましたね。
fukaseさんは小学校時代、授業に集中できないせいでオール1という不名誉な通知表をもらったこともあるそうです。
しかし、バンドのメンバーのような良き理解者に恵まれたおかげで、ADHDの特徴でもあるすさまじい行動力を生かすことができ、音楽の世界で成功しました。
ADHDの症状に悩む人たちにとっては、希望の星となる存在ですね。
最後に
ADHDと診断されたからといって、それが全く改善しないわけではありません。
実生活を送っていく上で、周囲や環境と折り合いをつけてうまく生活している人もたくさんいます。
大事なことは、自身や周囲の人、親がその症状に気づき、認識し、行動を改善していこうとすることです。
ADHDが疑われる場合は、精神科や心療内科の診察を早めに受けることも考えてみてください。
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