2024/10/11
女性の社会進出ということが当たり前のようになってきた現在でも、いまだに夫婦別姓の議論は続いています。
現行の法制度下では、夫婦別姓にメリット、デメリットの双方があります。
メリット、デメリット共に、今の日本社会の制度的な問題と、夫婦間の精神的な問題の両方があります。
であるがゆえに、夫婦別姓を選択することが難しかったり、二の足を踏んだりするのだと思います。
この記事では、主に現在(2024年9月現在)の法律下での夫婦別姓について述べています。
夫婦別姓が法律で認められた場合について知りたい方は以下の記事をご覧ください。
Contents
夫婦別姓のデメリット
まずはデメリットの方からご覧ください。
夫婦別姓のデメリット1 優遇措置が受けられない
いわゆる事実婚を選ぶと、婚姻関係にある男女(つまり夫婦)が受けられる優遇措置を受けられません。
夫婦のうち一方がフルタイムで働き、一方がパート・アルバイトで働いている場合、給与収入額にもよりますが、
- 配偶者控除(今、国会で存立自体が審議されているも、2024年9月現在はまだある)
- 国民年金保険料の支払い免除
などの優遇措置が受けられなくなります。
国民年金がいつまで存在しているか、ということはさておき、これは将来に大きくかかわってくることですから、気をつけたいですね。
事実婚を選ぶと、二人とも年金保険料を納めないといけなくなりますから、そのあたりはしっかりと確認しておいてください。
追記
法律として選択的夫婦別氏制度(いわゆる選択的夫婦別姓制度)が採用されて法律が変わった場合、つまり民法上で夫婦が別の氏で構わないとなった場合、配偶者控除や国民年金保険料の支払い免除などの優遇措置が受けられる可能性はあります。
夫婦別姓のデメリット2 離婚が増える傾向にある?
これは一概には言えませんが、多くなるであろうと言われていますし、何となく想像はできますよね。
同じ姓になることで、家族としての連帯感が生まれます。
しかし、今現在、日本では3組に1組が離婚しています。
別居を含めるともっと多いでしょう。
離婚経験者に聞くとわかるのですが、離婚は結婚の数倍の労力が必要です。
結婚の際は、お互いが協力して事を進めるのに対し、離婚は一筋縄ではいかないケースもありますから当然ですよね。
また、そういった精神的なこともある上に、様々な面倒くさい手続きも必要になります。
そういった面倒なことを経験しても、離婚するカップルが多いわけです。
このわずらわしさがなくなると、【別れる】という選択をする事実婚カップルは増えるのではないでしょうか。
このときの問題は、子供がいる場合です。
離婚しても子供をちゃんと育てられるような社会制度を早急に構築しなければいけませんね。
夫婦別姓のデメリット3 世間の目
夫婦別姓ということについては、以前よりも世間的な認知度は高まっています。
しかし、身近に夫婦別姓を選択している人がいない、あるいは、いても一組くらいだということがほとんどではないでしょうか。
夫婦別姓があるとは知っていても、そうしようと思うと、世間の目があってなかなか踏み出せないという人もいるはずです。
実際に、面と向かって『それ(夫婦別姓)はおかしい』と言ってくる人は少ないでしょう
しかし、日本社会では、他人と違うことをする人を無条件に非難したり、貶めようとする人が多いよう気がします。
特に保守的な傾向の強い田舎の方では、高齢の方を中心に、伝統的なものを大事にしている方が多いので、より大変だと思います。
(とはいえ、夫婦同姓が法律で義務付けられたのは明治時代なのですが)
また、本人(夫婦)はよくても、子供がそのことでからかわれたり、いじめられたりするのでは、という恐れもありますね。
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夫婦別姓のデメリット4 家族なのに名字が別
これは感覚の問題かもしれませんが、家族であるなら同じ名字を名乗っているのが普通のような気がします。
普通というと言いすぎかもしれませんが、やはり親と子供が別の名字だと違和感がありますよね。
これも慣れてくれば当たり前のようになるのかもしれませんが、今のところはすぐに適応するのは難しそうです。
夫婦別姓にするメリット
ここまで夫婦別姓のデメリットを述べてきましたが、もちろん夫婦別姓にするメリットもあります。
夫婦別姓のメリット1 わずらわしい手続きが必要なくなる
結婚すると、戸籍の変更はもちろんのこと、免許証やパスポート、銀行の通帳・カードなども変更が必要となってきます。
全て手続きするとなると、なかなかの労力と時間がかかります。
それらの面倒な手続きがなくなると、かなり楽になります。
また、名字を変えると、会社や同僚、取引先にも知らせなければいけません。
(ビジネスネームとして旧姓を使っている人もいますが、そこまで浸透している印象はありません)
最近は女性の社会進出が目覚ましく、社会的地位の高いポストに就いている人もいます。
名字が変わることで、色々と支障をきたすことになりかねませんよね。
夫婦別姓のメリット2 女性の個人情報の保護
特に女性にとってですが、結婚しているかどうか、というのはプライベートな情報です。
しかし、結婚して姓を変えるというタイミングで、それを否が応でも公表することになります。
夫婦別姓が認められれば、自分の名字を変える必要がなくなり、知らない人にまで個人情報を垂れ流すことはなくなります。
夫婦別姓のメリット3 不公平感がなくなる
家制度という考え方がある日本では、【嫁入り】ということで、夫の家に入るという感覚が残っています。
婿入りということもありますが、実際、日本では97%が夫の名字に変えるというデータがあります。
いまや結婚は個人と個人がするものだという感覚が一般的になりつつあります。
ですので、夫婦別姓にすることで、男女が対等の関係でいられるということにもつながりますよね。
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夫婦別姓を国民はどう思っているか?
ここからはメリット、デメリット以外の部分も見ていきましょう。
法務省では、直近で平成24(2012)年に、『選択的夫婦別氏制度に関する世論調査』を行なっています。
⇒http://www.moj.go.jp/MINJI/minji36-05.html
これによると、アンケートを受けた国民全体では、
- 選択的夫婦別氏制度を導入してもかまわない ⇒ 35.5%
- 現行の夫婦同氏制度を改める必要はない ⇒ 36.4%
という結果になっています。
しかし、世代別に見ると、20代では
- 選択的夫婦別氏制度を導入してもかまわない ⇒ 47.1%
- 現行の夫婦同氏制度を改める必要はない ⇒ 21.9%
60代では
- 選択的夫婦別氏制度を導入してもかまわない ⇒ 33.9%
- 現行の夫婦同氏制度を改める必要はない ⇒ 43.2%
となっています。
若い世代の方が、より寛容な考えを持っているようですね。
選択的夫婦別氏制度とは
これは、夫婦が望む場合には、結婚後も、それぞれの氏を名乗ることを認める制度です。
『選択的夫婦別姓制度』と呼ばれることもあるようです。
しかし、民法等の法律において、『姓』や『名字』のことを『氏』と呼んでいるため、法務省では『選択的夫婦別氏制度』で統一しているということです。
※2024年9月現在の日本では認められていません。
選択的夫婦別氏制度の現状
現在、日本では、民法第750条に、
【夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する】
と規定されている通り、必ず夫か妻のどちらかの姓を名乗らなければいけません。
それに対し、【選択的夫婦別氏制度】を認めるべきだという声があります。
ですが、現状として、法務省ではこの件について審議されているものの、国会には提出されていません。
まだまだ民法を改正するといったところまでは遠い印象ですね。
海外では法律による拘束はない
ちなみに海外では、夫婦同姓を法律で義務付けている国はありません。
これは日本が遅れているという単純な理由ではなく、戸籍制度の存在が関係しているようです。
というのも、戸籍制度は世界でも珍しい制度で、日本と台湾にしかないからです。
(韓国は2008年に廃止され、家族関係登録簿となった)
最後に
若い世代を中心に、夫婦別姓への理解は進んでいるようです。
とはいえ、今のところは法律が別姓にすることを阻んでいるのが現状のようです。
戸籍制度自体が明治期に復活したのと同様、夫婦同姓が民法で規定されたのは明治31年です。
何でも海外に合わせればよいというわけではありませんが、時代の流れもありますし、そろそろ見直してもよいのかもしれませんね。
皆さんも色々と考えてみてください。
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