2024/10/11
画像著作者:小智的天空(JR Chang)
アドラーは人間を『目標に向かって生きる存在』と定義しました。
アドラー心理学はこの考えをベースに人間の行動や心理を理解します。
Contents
全ての生き物は目標を追求している
すべての生き物は目標を追求しているのです。
特に、人間に関していえば、その人の目標を知らなければ、その人の行為や行動を理解することはできない。(ルドルフ・ドライカース『アドラー心理学の基礎』からアドラーの言葉)
アドラーが打ち立てた心理学は、一般に『アドラー心理学』、正式には『個人心理学(Individual Psychology)』と呼びます。
人の心理的過程は『individual=分解できない』個人から始まるというアドラーの考えから、この名がつきました。
ただし、『社会心理学』の対義語ではありません。
また、アドラーは、私たちが個々の人間について知るには、
人が円が決定と選択の能力をもち、自ら選んだ目的や目標に向かって生きるという点を理解しなければならない、
と考えました。
目的論的なのがアドラー心理学の特徴
「人間の活動のすべては、目的や目標を追求している」。
これが正しいとすると、
人間活動や精神を理解するには、その人がもつ目的や目標を明らかにする必要がある、
とアドラーは考えました。
このように、アドラーが人間を捉える態度は、きわめて目的論的だと言えます。
目的論とは、人間の活動を始めとしたさまざまな現象を、その目的によって説明する態度を指します。
これに対して、何らかの原因を根拠に現在や未来を説明する態度を決定論、あるいは機械論と言います。
目的論と決定論の立場は極めて対照的です。
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目的論と決定論の違いとは?
たとえば、『お腹が空いたので食事をする』という態度は、『お腹が空いた』という現象を根拠にして『食事をする』という現在の行動を説明しています。
つまり決定論的な立場です。
これに対して、同じ現象を目的論の立場で考えると、『生きるために食事をする』という見解になります。
つまり『食事をする』という現在の行動は『生きるため』という目的が根拠になっていると考えるのです。
アドラー心理学では、この目的論立場をかたくなに支持します。
そのため、
人が特定の困難な状況にある場合でも、それは目的や目標をもつその人が選択した結果だ
とアドラー心理学では考えます。
このように、アドラー心理学には一見冷徹な印象があります。
しかし、この目的論的見解は、人は別の目的を選択することで自分の人生をより良い方向に変えられることをも意味します。
変えるか変えないかはその人次第なのです。
『劣等感』こそが成長の原動力
前項では、
人の行動や精神を理解するには、その人がもつ目的あるいは目標を知らなければならない、
という話をしました。
人がもつ目的には、適切なものもあれば不適切なものもあります。
遊ぶ金が欲しいがために他人から盗んだとしたら、これは明らかに『自分勝手=不適切』な目的に基づいた行動です。
では、そもそも人はどのようにして、目的や目標を持つようになるのでしょう?
この問いに対する有力な回答の一つに、アドラーがことのほか注目した【劣等感】があります。
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『劣等性』と『劣等感』
私たちの身体的特徴や能力は千差万別です。
そのため他人と比較したとき、誰にでも劣っている能力や性質が必ず存在します。
これを『劣等性』と呼びます。
自分のもつ劣等性を意識したとき、人はこれに対して多様な判断を下せるでしょう。
このとき、自分がもつ劣等性に負い目や恥を感じると、否定的な感情が生じます。
このネガティブ感情が『劣等感』です。
人間であることは劣等感をもつことである
アドラーが劣等感に注目したのは、劣等感が人間の成長の原動力になるからです。
人間を他の動物と比較した場合、身体の大きさや運動能力、牙や爪といった殺傷能力など、人間よりすぐれた能力をもつ動物が多数います。
こうして人間は生まれつき他の動物に対して劣等感を抱くようになります。
しかし、このままでは生存競争に破れてしまいます。
そこでこの劣等感を克服するために、人間は集団を形成しました。
集団でかかれば身体の大きな動物を敵にしても戦えます。
また獰猛な動物から身を守るためにも、一人より集団でいる方が有利でしょう。
つまり、私たちが集団を形成するのは、人間が太古の昔からもつ基本的な傾向であり、それは他の動物よりも身体的に劣っているという劣等感の克服から生じたものだと考えられます。
この劣等感の克服のことを『補償』と呼びます。
劣等感を埋め合わせるため、人は進歩を続ける
集団だけでなく、私たちの身の回りにあるものの多くは、劣等感の補償によるものです。
人間は速く走れないから自転車や自動車、鉄道を作りました。
上手に泳げないからボートや船舶を作りました。
また、空を自由に飛べないから飛行機やロケットを作りました。
さらに、自然や宇宙に対して無力感を感じた人間は、宗教や哲学を生み出しました。
いずれも人間がもつ劣等感が原動力になっています。
そして一人ひとりが持つ目的や目標も、その人の劣等感が大きく影響していると考えるのが自然です。
まとめ
アドラー心理学の基礎の基礎を紹介しました。
アドラーは人を
『目標に向かって生きる存在』であり『目標や目的はその人の劣等感と大きく結びついている』
と説明しました。
必ずしもそれだけとは言えないとは思いますが、一面の真理をついている言葉だと思います。
コメント
[…] […]
by そもそもストレスとは何か? 2種類あるストレス | 生活の知恵どっとこむ 2017年1月30日 10:25 AM